アコギ用ピックアップ

13.ShadowのNanoMAGとTSピックアップシステムを融合させてみる

2015/04/13

岡山県のJYさんから、TSピックアップシステム3を基本にShadowのNanoMAG(ナノマグ)を使いたいという依頼が来ました。通常、システム3にはパッシブ型のマグネットをつける事を想定していますが、NanoMAGにはすでに専用のアクティブ回路がエンドピンジャックと一体になっています。 今回はこのエンドピンジャック一体型のプリアンプを乗っ取り、システム3を組み込むことにしました。
ShadowのNanoMAGを分析する。

ShadowのNanoMAGShadowのNanoMAG

B-BANDのプリアンプと見た目は同じですが、ShadowのプリアンプはNanoMAG用にチューナップされているようです。NanoMAGをプリアンプから外して、直接他のプリアンプに繋いでも音は出ませんでした。ですから、NanoMAGはコイルの巻数が少なく、インピーダンスが極めて低いマグネットなのかもしれません。これは、これまでのマグネットピックアップの逆転の発想ですね。通常のマグネットはハムノイズを消すためにハムバッキングが使われますが、コイルの巻き数が倍になるため、インピーダンスは高くなり、その後のケーブルや機材の選択がシビアになります。コイルの巻数を減らせば出力が小さくなってしまうという問題もあるので、高インピーダンスでもハムバッキングでノイズを打ち消すというのが通例でした。 コイルの巻数を減らし、インピーダンスが低くなれば、マグネット自体の出力は小さくなりますが、シングルコイルでもノイズは少なくなります。また高音も良く出るようにななります(単なる銅線に近づく)。また、何よりも小型化できるというのは大きなメリットだと思います。その分この極めて小さい出力を補うのが専用のプリアンプになっています。ですから、NanoMAGは早い段階で専用のプリアンプが必要なマグネットかもしれません。考えてみれば、そのむかしレコードの時代のフォノイコライザーアンプは、カートリッジから送られる極めて微細な出力を増幅するために専用のアンプが設けられていたことを思い出しました(今でも使われていますが・・・)。コイルを巻けば巻くほど、出力が大きくなりますが、その分犠牲になる部分も多かったのではないでしょうか。電気回路での増幅が当たり前となっている昨今、こうした入力部分はシンプルなものにしたほうが良いのかも知れません。 TSピックアップシステムと融合させるためには、このプリアンプの出力部分を乗っ取り、コンタクトのとコンデンサーマイクをミックスしたものを入れることにしました。幸いMorris S-101でエンドピンジャック一体型のプリアンプを乗っ取った経験がありますので、それを基にして回路を考えることにしました。いつものようにeagleで回路を考え、自作CNCフライス盤で切削し、パーツを半田付けしてShadowのプリアンプを解析して、電源部分と、出力部分を配線で繋ぎます。

ShadowのNanoMAGShadowのNanoMAG

ShadowのNanoMAGShadowのNanoMAG

このShadowのプリアンプですが、注意が必要な点として本来のGNDの部分がRINGになっていて、通常のエンドピンジャックの使い方と逆転しています。それを考慮して電源も乗っ取りましたので、エンドピンジャックにシールドを差し込むだけで、Shadowの電池から自動的にTSピックアップシステムの 電源も投入することができるようにしました。今回は借り物なので本格的にギターに取り付けることはできませんでしたが、簡単に仮止めして、サンプルの音をとってみました。これまでと同様にライン直録り、音の加工は一切していません。仮止なので、ナノマグが落ちてきますが、指で押さえておき、落ちる前にさっと弾いて録りました(笑)。 TSピックアップシステム+Shadow NanoMAGの音

こんなに小さいのに低音もよく出ます。もちろんTSピックアップシステムとの融合によりアコギらしさも倍増しますし、ボディヒットもちゃんと拾ってくれます。これまで、サウンドホールを大きく塞いでしまう、マグネットピックアップを敬遠していた方も、これならよいかもしれません。遠くから見ると指板の延長にしか見えませんので、さりげなくマグネットを加えることができます。 今回は依頼ありがとうございました。 その後JYさんから、NanoMagとTSピックアップの音を送っていただきました。

NanoMagとTSピックアップの音をとってみました。 ただ、音はまだ未調整で、全て全開です。       最初生音、次にピックアップからラインという順番で比較できるようにしてます 。       直、マイク、ピックアップともに、外部のプリアンプは通さず、直接インターフ ェイスにつなぎ、ボリュームを上げただけで、エフェクト処理はしていません。       最初1分半ほど、普通にコンデンサーマイク(超単一指向性)で生音録音したフ ィンガースタイル。次に1分半ほどピックアップでの同じフィンガースタイル。       その後1分強ほど、マイクでの生音のヒッティング系、続いてピックアップでの ヒッティング系。 コンデンサーマイクとNanoMag+TSピックアップの音

なかなか良いですね。 曲にもよりますが、マイク録りより音の 厚みが増し、輪郭がはっきりして気持ちよく聞けます。 サンプル音を送ってくださりありがとうございます。

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