アコギ用ピックアップ

5.TSピックアップ・システムをギターに内蔵して音を出す。

2013/03/15

先回は回路図や作り方を説明しましたが、今回実際にギターに内蔵し音を出してみます。
TSピックアップ・システムをギターに内蔵する

出来上がった基板及びは配線をすべてギターの中に内蔵します。

アコギ用ピックアップの取付  アコギ用ピックアップの取付

電池も、基板もそれほど頻繁に交換するものではないので、今回は両面テープでギターの内部に貼り付けました。電池はネックヒールの裏側にあるネックブロックの上あたりに貼り付けるのが良いと思います。

アコギ用ピックアップの取付

TSピックアップ・システム、ギター内部配線図

図で表すと以下のような配線になります。このように配線することによって、プラグを差し込むだけで電池からのグランドが通り電源が入るようになります。

ギター内部pickup配線

コンデンサーマイクを、超小型の薄型にすることにより、ハウリング対策を施しています。通常ギターの音の定常波はギターの中を音が往復するときにできます。この定常波の山(腹)の部分にコンデンサーマイクがあると、ハウリングが起こりやすくなります。 定常波は、ウィキベディアによりますと、「定常波(ていじょうは、standing waveまたはstationary wave)とは、波長・周期(振動数または周波数)・振幅・速さ(速度の絶対値)が同じで進行方向が互いに逆向きの2つの波が重なり合うことによってできる、波形が進行せずその場に止まって振動しているようにみえる波動のことである。定在波(ていざいは)ともいう。」と定義されていました。 ですから、この「節」と呼ばれる音が交差するところで事実上音圧がほとんど無い部分と、「腹」と呼ばれる大きく音圧が発生する部分が交互に来るわけです。これを少しでも回避するために、下図のようにギターのバック材のブレイシング高より下側にコンデンサーマイクが来るように配置してやれば、理論上ハウリングに強くなるはずです。

アコギ用ピックアップ横から

それで、もし、このピックアップシステムで、3つのピックアップのバランスが取れたなら、次に、コンデンサーマイク付プリアンプの位置を少し動かしてみると、ハウリングに強いポイントを見つけることができると思います。ギターにも独特の共振周波数が存在し、その周波数にあった、定常波の音圧の少ないところに配置するようにすれば良いはずです。コンデンサーマイクと、電気的に逆相になっているコンタクトピエゾの貼る位置を時間をかけて見つければ、音質的にもすばらしいアコースティックサウンドを得ることができます。

良くある質問

●トーンコントロールは付けないのですか。
トーンコントロールは、基本的に原音からかけ離れてゆきますし、ノイズが増え、音質劣化を招くので、今後も付けることは考えていません。 TSピックアップシステムは、トーンコントロールがなくても、それぞれのピックアップで同様の効果を得ることができます。以前掲載しましたが、それぞれのピックアップの役目を今一度注目してください。

マグネット 弦の音を拾い、主に低音(基音)を担当する。
コンタクトピエゾ トップの木の音を拾い、主に高音(倍音)を担当する。
コンデンサーマイク 空気の音を拾い、臨場感、エア感を増し加え耳障りの良い音にする。

もし、低音をもっと出したいのであれば、マグネットを大きく、高音が出すぎているのであれば、コンタクトピエゾを絞れば、トーンコントロールと同様の効果を得ることができます。

●メインのボリュームは付けないのですか。
3つのピックアップのベストポジションとボリュームが決まってしまえば、ボリュームを絞る必要はないと思います。ですから、メインボリュームさえ省き、回路はシンプルにパワフルにを心掛けましたので、ボリュームを増やすことは考えていません。基板に半固定抵抗で調整する方法も、回路をシンプルにするためです。アコースティックギターはデリケートな楽器ですから、トップに余分なものを貼り付けたりして、本来の鳴りを損ねないようにしたいと思っています。

●半田付けができないのですが。
電子工作ができれば、それほど難しい回路ではありませんが、アコギを弾く方は、比較的電気や半田付けを嫌う方が多いようです。作ることが出来るように回路も作り方も公開していますが、電気回路や半田付けの経験がない方のために、近いうちにTSピックアップシステムの完成品を販売したいと思っています。価格は未定ですが、出来上がったら、ピンコネクターに好みのマグネットを付けるだけの、お気軽システムに仕上げたいと思っていますので、その時はよろしくお願いします。すべて手作りなので、コスト的に難しい部分もありますが、何とかしたいと思っています。

●実際の音を聞いてみたいのですが。
これから、録音する様々な音源はすべて、このTSピックアップシステムで録音してゆきますので、お確かめください。その前に、サンプル音を幾つかご用意しましたので、ここで聞いてみてください。

TSピックアップ・システムのサンプル音

マイケル・ヘッジスのRAGAMUFFINの最初の部分を弾いてみました。 TSピックアップシステムは、それぞれのピックアップの音をコントロールできます。まずは単独での音をお聞きください。

マグネットのみ(mp3)

コンタクトピエゾのみ(mp3)

コンデンサーマイクのみ(mp3)

単独で用いたときにも輪郭がはっきりし、音が厚くなりプリアンプの効果を確認できると思います。 次に、すべてのボリュームをバランスを考えずにフルまで上げた音です。

すべてミックス(mp3)

各ピックアップの音が見事に合成され、低音から高音、そして倍音域まで非常によく出ています。今回はサンプルということで、バランスは考えずにすべての半固定抵抗をフルにして録音しました、それでも、なかなか良い音が出たと思います。各ピックアップのバランスを取ればさらに良い音になるはずです。
次回は、さらに改良を加え、希望者には完成品をお分けしたいと考えていますので、よろしくお願いします。

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